ブログBlog
「遮熱塗料は、どの色を選んでも効果は同じですか?」
屋根塗装をご検討中の方から、こんなご質問をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、同じ遮熱塗料でも、色や下塗りの仕様によって日射反射率は変わります。一般に明るい色ほど太陽光を反射しやすい傾向がありますが、色の濃さだけで決まるわけではありません。
イカケンで使用する塗料は、すべてアステックペイントです。この記事では「スーパーシャネツサーモシリーズ」の公式データと実際の施工事例をもとに、遮熱性と外観のバランスを考えた屋根色の選び方を、長岡市の塗装店・イカケン(有限会社五十嵐建装)が解説します。
長岡は雪国ですが、夏が涼しいわけではありません。気象庁の長岡観測地点の平年値(1991〜2020年)では、日最高気温の月平均は7月29.1℃、8月30.9℃です。この記事では、冬の日照や積雪も含め、長岡の夏と冬の両方から遮熱塗料を考えます。
目次
この記事の結論
- 遮熱塗料は色によって日射反射率が異なる
- 明るい色は全日射反射率が高い傾向がある
- 濃い色にも遮熱性はあるが、同じ製品内では明るい色より反射率が低い場合がある
- 反射率は色だけでなく、下塗材を含む塗装仕様によっても変わる
- 屋根表面の温度上昇を抑えることと、室温が何℃下がるかは同じではない
- 反射率・外壁との調和・汚れの見え方・実際の色見本を比べて選ぶことが大切
- 長岡では、冬の日照・積雪・屋根雪の処理方法まで含めて仕様を決める
遮熱塗料は色で効果が変わる|明るい色ほど反射率が高い傾向
遮熱塗料は、太陽光、とくに温度上昇の一因となる近赤外線を反射し、塗膜や屋根材が熱くなるのを抑える塗料です。
一般的な塗料と同じように、遮熱塗料にも明るい色から濃い色まであります。明るい色は可視光を含む太陽光全体を反射しやすいため、全日射反射率が高くなる傾向があります。
一方、アステックペイントのスーパーシャネツサーモシリーズは、近赤外線を反射しやすい特殊な顔料を採用しています。そのため、黒・茶・紺・緑などの濃い色でも遮熱性は期待できます。
ただし、「遮熱塗料なら色は何でも同じ」という意味ではありません。色ごとの公表値を比べると差があるため、遮熱性を重視する場合は、見た目だけでなく日射反射率も確認しましょう。
日射反射率とは?色選びで見る2つの数値
日射反射率とは、太陽光のエネルギーをどれくらい反射するかを示す割合です。数値が高いほど、光を吸収しにくく、塗膜や屋根材の温度上昇を抑えやすいと考えられます。
スーパーシャネツサーモのカタログには、次の2種類が掲載されています。
近赤外線反射率
太陽光のうち、近赤外線領域(780〜2500nm)の反射率です。近赤外線は物体の温度上昇に関係するため、遮熱塗料の性能を見るうえで重要な指標です。
全日射反射率
近紫外・可視・近赤外を含む波長域(300〜2500nm)全体の反射率です。異なる色を含め、太陽光全体をどれだけ反射するか比べたいときの目安になります。
屋根表面温度と室温は分けて考える
アステックペイントの現場試験では、福岡県筑後市・外気温29℃・色は9112エバーグリーンという条件で、未塗装部55.8℃、塗装部40.1℃となり、屋根表面温度に15.7℃の差が確認されています。
これはメーカーによる一つの測定例で、イカケンの施工物件で測定した数値ではありません。また、室温が15.7℃下がることを示すものでもありません。室温や体感への影響は、屋根材、建物の構造、断熱、屋根裏換気、階数、間取り、窓や扉などの条件によって変わります。
スーパーシャネツサーモの色別日射反射率を比較
アステックペイントの現行カタログには21色が掲載されています。ここでは、その中からイカケンの公開中の施工事例で使用を確認できた7色を比較します。
表中の数値は「近赤外線反射率/全日射反射率」です。
| 色番号・色名 | サーモテックシーラー使用時 | エポパワーメタルJY使用時 |
|---|---|---|
| 9207 ファウンテンブルー | 88.3%/73.4% | 90.6%/75.0% |
| 9110 クレタグレー | 63.8%/42.8% | 64.1%/43.0% |
| 9113 ラセットブラウン | 60.7%/31.5% | 50.7%/26.2% |
| 9111 カーボングレー | 48.6%/24.5% | 48.7%/25.2% |
| 9112 エバーグリーン | 48.2%/23.4% | 47.2%/23.2% |
| 9114 キャビアブラウン | 46.7%/22.8% | 46.9%/23.5% |
| 9117 ミッドナイトブルー | 46.8%/22.3% | 46.9%/23.1% |
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
※数値はアステックペイント「スーパーシャネツサーモシリーズ」公式カタログ(ver.202408)の掲載値です。
※「サーモテックシーラー」「エポパワーメタルJY」は下塗材の名称です。スーパーシャネツサーモSiとFの違いを表すものではありません。
表から分かること
この7色では、淡い水色のファウンテンブルーの全日射反射率が73.4〜75.0%と高く、濃い紺色のミッドナイトブルーは22.3〜23.1%です。遮熱塗料として設計された同じシリーズでも、色によって数値が異なることが分かります。
また、同じ色でも下塗材によって数値が異なります。とくにラセットブラウンは差が比較的大きいため、色番号だけで判断せず、屋根材に合う下塗材を含めた塗装仕様で確認することが大切です。
なお、カタログの色は画面や印刷環境によって実物と異なって見えます。最終決定の前には、アステックペイントの屋根用色見本帳や大判色見本板でご確認ください。
イカケンの施工事例で見る7つの屋根色
反射率だけでは、屋根全体に塗ったときの印象までは分かりません。ここからは、イカケンの施工事例で実際の仕上がりをご紹介します。
施工写真は色や外観を検討するための参考です。写真の見え方は、光の当たり方や撮影・表示環境によって変わります。また、各現場で温度測定を行った事例ではないため、写真から温度低下を判断することはできません。
9207 ファウンテンブルー|明るく軽やかな水色

- 使用塗料:スーパーシャネツサーモSi
- 全日射反射率:73.4〜75.0%(下塗材により異なる)
- 印象:屋根を明るく、さわやかに見せやすい水色
9110 クレタグレー|明るさと落ち着きを両立

- 使用塗料:スーパーシャネツサーモF
- 全日射反射率:42.8〜43.0%(下塗材により異なる)
- 印象:明るさがありながら、外壁に合わせやすいグレー
9113 ラセットブラウン|住宅になじみやすい落ち着いた茶色

- 使用塗料:スーパーシャネツサーモF
- 全日射反射率:26.2〜31.5%(下塗材により異なる)
- 印象:あたたかみがあり、ベージュ系・ブラウン系の外壁とも調和しやすい色
9111 カーボングレー|重すぎない濃色グレー

- 使用塗料:スーパーシャネツサーモSi
- 全日射反射率:24.5〜25.2%(下塗材により異なる)
- 印象:黒に近い引き締まった印象を残しながら、やわらかさもあるグレー
9112 エバーグリーン|深みのある緑

- 使用塗料:スーパーシャネツサーモSi
- 全日射反射率:23.2〜23.4%(下塗材により異なる)
- 印象:落ち着きがあり、周囲の緑や和洋どちらの住宅にもなじみやすい深緑
9114 キャビアブラウン|黒に近い濃いブラウン

- 使用塗料:スーパーシャネツサーモF
- 全日射反射率:22.8〜23.5%(下塗材により異なる)
- 印象:屋根をしっかり引き締めながら、真っ黒よりもあたたかみを感じる濃色
9117 ミッドナイトブルー|上品で深い紺色

- 使用塗料:スーパーシャネツサーモSi
- 全日射反射率:22.3〜23.1%(下塗材により異なる)
- 印象:黒に近い落ち着きがあり、光の当たり方で青みを感じられる濃紺
遮熱性と外観を両立する屋根色の選び方
遮熱性を優先するなら明るめの色
太陽光全体の反射を重視するなら、まず全日射反射率を比べましょう。今回の7色では、ファウンテンブルーやクレタグレーが高い数値です。
ただし、外壁との組み合わせや周囲の景観によっては、屋根だけが明るく目立つ場合もあります。カラーシミュレーションや施工写真も使い、建物全体で確認するのがおすすめです。
外観とのバランスならグレー系や中間色
グレーやブラウンなどの中間色は、さまざまな外壁色と合わせやすいのが特徴です。濃い屋根から少し明るい色へ変えることで、印象を大きく変えずに全日射反射率を高められる場合があります。
濃い色は反射率と実物見本の両方を確認
黒・紺・濃い茶色は、屋根を引き締めたい方に根強く選ばれる色です。スーパーシャネツサーモでは濃色にも遮熱性がありますが、明るい色と比べると全日射反射率が低い場合があります。
遮熱性をどこまで優先するか、外観の希望をどこまで重視するかを整理し、数値と実物の両方を見て選びましょう。
色以外に遮熱効果を左右する条件
遮熱塗料の効果は、色だけで決まるものではありません。次の条件も関係します。
- 下塗材と塗装仕様:同じ色でも、使用する下塗材によって公表反射率が異なります。
- 屋根材と劣化状態:素材や傷み方により、必要な下地処理や塗装仕様が変わります。
- 施工品質:メーカーが定める塗布量、乾燥時間、塗り重ねなどを守ることが前提です。
- 断熱・換気・間取り:断熱材、屋根裏換気、部屋の位置、窓や扉などにより室温への影響が変わります。
- 汚れと経年変化:汚れの付着や塗膜の経年変化により、反射性能が初期値から変化する場合があります。
「一番反射率が高い色を選べば必ず涼しくなる」とは言い切れません。まず屋根を診断し、建物の条件と希望する仕上がりに合う仕様を決めることが大切です。
長岡市で遮熱塗料を選ぶときの4つの確認ポイント
1. 雪国でも夏の遮熱を考える意味はある?
あります。気象庁の平年値では、長岡の日最高気温の月平均は7月29.1℃、8月30.9℃です。とくに屋根に近い2階の部屋や屋根裏は、日射を受けた屋根からの熱の影響を受けやすいため、屋根表面の温度上昇を抑えることには意味があります。ただし、室温や体感の変化は断熱・換気・間取りなどによって異なります。
2. 冬の日射取得への影響はどう考える?
新潟地方気象台は、新潟県の冬を曇り・雨・雪の日が多く、日照時間が少ない日本海側の気候と説明しています。長岡観測地点の平年値(1991〜2020年)では、日照時間は12月49.3時間、1月37.3時間、2月60.6時間で、3か月の合計は147.2時間です。
高日射反射率塗料は、建物・地域・製品などの条件によって冬の日射熱取得を減らし、暖房負荷に影響する可能性があります。環境省のETV検証結果にも、条件によって冬季の暖房負荷が増える推計例があります。長岡では冬への影響を「ゼロ」と一律に断定せず、屋根の積雪状況、方位、断熱、窓、暖房方法まで見て判断します。
3. 積雪・雪下ろしは塗膜に影響する?
アステックペイントは、公式FAQで、雪が多い地域や氷点下の日が多い環境では塗膜の劣化が早まる場合があると案内しています。ただし、雪による影響を色番号別に比較した公式データは確認できません。「濃い色ほど雪に強い」「この色なら長持ちする」とは言い切れないため、色より先に屋根材と塗膜の状態を確認します。
雪下ろしをする屋根では、道具を屋根面まで当てて無理に雪を取り切らないことも大切です。長岡市の屋根雪下ろし安全ガイドでは、屋根葺材を傷めず足元を確保するため、15〜20cm程度の雪を残すよう案内しています。
4. 雪止めがある屋根は色を選べない?
スーパーシャネツサーモの公式カタログには、雪止めの有無による色番号の制限は示されていません。雪止めは色選びの制約というより、金具の固定状態、さび、周辺の塗膜、塗装範囲を確認する箇所です。イカケンでは、雪止めで雪を載せる屋根か、自然落雪・融雪・雪下ろしで処理する屋根かも確認し、色と塗装仕様を屋根全体で検討します。
スーパーシャネツサーモSiとFはどう選ぶ?
イカケンでは、屋根用遮熱塗料としてアステックペイントのスーパーシャネツサーモSiとスーパーシャネツサーモFを取り扱っています。
- スーパーシャネツサーモSi:シリコン系の屋根用遮熱塗料。遮熱性能と費用のバランスを重視したい方に。
- スーパーシャネツサーモF:フッ素系の屋根用遮熱塗料。遮熱性に加え、耐候性をより重視したい方に。
どちらも21色のラインアップがあり、この記事で紹介した色を選べます。屋根の状態や今後の住まい方、ご予算を伺いながらご提案します。
遮熱塗料の色選びでよくある質問
Q. 黒や茶色などの濃い色でも遮熱効果はありますか?
はい。スーパーシャネツサーモシリーズは濃い色でも近赤外線を反射するよう設計されています。ただし、同じシリーズ内でも色によって反射率が異なり、全日射反射率は明るい色の方が高い傾向があります。
Q. 遮熱効果を優先するなら何色がよいですか?
まず全日射反射率が高い明るめの色をご検討ください。現行21色の中から、外壁との調和や汚れの見え方も含めて選ぶのがおすすめです。
Q. 近赤外線反射率と全日射反射率のどちらを見ればよいですか?
どちらも参考になります。遮熱塗料の仕組みを見るうえでは近赤外線反射率が重要です。異なる色も含め、太陽光全体をどれだけ反射するか比較したいときは全日射反射率が分かりやすい指標です。
Q. 下塗り塗料によって日射反射率は変わりますか?
はい。公式カタログでは、サーモテックシーラーとエポパワーメタルJYで数値が分けて掲載されています。屋根材や状態に応じて下塗材を選ぶため、色と塗装仕様をセットで確認します。
Q. 遮熱塗料を塗ると室温は何℃下がりますか?
一律にはお答えできません。遮熱塗料は屋根表面の温度上昇を抑え、室内への熱の侵入を少なくする働きがありますが、室温の変化は建物構造、断熱、換気、階数、間取り、開口部などによって異なります。
Q. 冬に室内が寒くなりませんか?
建物や気象条件によっては日射熱の取得が減り、暖房負荷に影響する可能性があります。長岡の平年値(1991〜2020年)では、日照時間は12月49.3時間、1月37.3時間、2月60.6時間です。また、降雪の深さ合計は12月76cm、1月197cm、2月155cm、年最深積雪は89cmです。冬への影響がまったくないとは断定せず、屋根の積雪状況、方位、断熱、窓、暖房方法まで含めて仕様を選びます。
※「降雪の深さ合計」は新たに降った雪を積算した値で、地面に積もった雪の高さではありません。出典:気象庁「長岡の平年値」
Q. 雪止めがある屋根でも遮熱塗料を塗れますか?
屋根材と雪止め金具の状態に合う施工ができれば、塗装を検討できます。雪止めの固定、さび、金具まわりの傷みを確認し、必要な補修や塗装範囲を判断します。雪国だから使えない色を一律に決めるのではなく、雪の処理方法も含めて屋根全体で考えることが大切です。
まとめ|日射反射率と実際の仕上がりを比べて屋根色を選ぼう
遮熱塗料は、太陽光を反射して屋根表面の温度上昇を抑える塗料です。ただし、同じ製品でも色や下塗り仕様によって日射反射率が異なります。
遮熱性を優先するなら全日射反射率の高い明るめの色が候補になります。一方、屋根は住まいの印象を大きく左右するため、外壁との調和や好みも大切です。長岡では、冬の日照や積雪、雪止め、雪下ろしの方法も含めて屋根全体で考えます。
イカケンでは、屋根材の状態とご希望の外観を確認し、色番号ごとの日射反射率や実際の施工写真を見ながらご提案します。気になる色番号があれば、無料の屋根診断・お見積もり時にお知らせください。
執筆者
イカケンWEB担当